2. 文字の発音を覚えよう

(1)  発音の原則

ロシア語は原則的に、1つの文字に対して1つの音が対応します。このサイトにその一覧を表記するのはめんどいので、以下のリンクを参考にしてください。

http://rossia.web.fc2.com/pc/yazyk/nachalnyy/a01.html

気を付けなければならない点のみを挙げます。
(以下、[ ]で囲った部分はIPAで表記したものです。)


(2)  発音の変化

① 母音の発音変化

② 子音の発音変化


(3)  硬母音字と軟母音字

硬母音の字 а(ア) ы(ウィ) у(ウ) э(エ) о(オ)
軟母音の字 я(ヤ) и(イ) ю(ユ) е(イェ) /  ё’(ヨ)

硬母音というのは要するに「ヤ行じゃないやつ」、軟母音というのは「ヤ行のやつ」です。ただしыとиは直感的にどっちに来るかわかりづらいので注意しましょう。
「ア(а)とヤ(я)」のように、それぞれペアを作ります。ただし、「э」は基本的に出現しない文字なので、「е」は「ё」とともに、「о」とペアを作ります。

このペアの概念は最初は覚えなくてもいいんですが、最後に見返したときに「ああそうだったのか」と納得がいく仕組みになっています。

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(4) 進んだ学習 

※ロシア語2周目、あるいはロシア語を第n外国語(n≧3)でやってる人向け

1) ミャーヒキーズナーク(軟音記号)

「ь」はあくまで直前の子音が軟音になる(口蓋化)ことを示す「記号」であります。直前の子音とひとかたまりで1文字と見ればいいと思います。
例えばтетрадьは、あくまで「дь」 つまり  /d'/  で終わってるという認識です。語末の子音は無声化するので、 /t'/ となり、「チェトラーチ」と発音されます。

2)  子音の連続を避ける

ポーランド語やチェコ語などは平気で子音連続をかましてきますが、ロシア語は子音の連続を比較的避ける傾向にあります。というか正確には、発音しやすいように発音を変えるルールがある、ということですね。

例えば…

・Здравствуйтеは「вст」が発音しづらいので、「в」の発音を落として「ズドラーストヴィーチェ」です。
・солнце(太陽)は「лнц」が発音しづらいので、「л」の発音を落として「ソーンツェ」です。
・се́рдце(心)は「рдц」が発音しづらいので、「д」の発音を落として「シェールツェ」です。

そのほかにも代表的な例が外大の言語モジュールに載っています。見てください↓
https://www.coelang.tufs.ac.jp/mt/ru/pmod/practical/01-07-00-01.php

3) 複雑な発音変化

「I have an apple」を「アイハヴァナップル」とつなげて発音する(リンキング)ような現象が、ロシア語にもあります。その場合にはかなり複雑に発音規則が絡まります。

・「Как вас зовут ?」は速く言うと、「с」と「з」がくっついて、「カクヴァーザヴート?」くらいになります。

・「前置詞やнеは続く単語と一緒に発音する」というルールがあります。「в парке」は「パールケ」です。「ヴパールケ」ではありません。пにひきずられてвが無声化しているからです。

・ほかにも、ソ連国歌の「Сквозь грозы сияло нам солнце свободы」という行で、「Сквозь」はほぼ「スヴァズ」と聞こえます。「Сквозь грозы」と一続きに発音されてるんですね。сквという3連続子音が厄介なのでкが落ちたり、оをはっきり言っていないので「ア」になったり、本来は [s']で終わるはずの語尾が、後ろの「грозы」の「г」につられて [z']となっていたり。

さらに、将棋倒しのように連続して無声化するケースもあります。звёзд(星звезда́の pl. gen. )は「ズヴョースト」。дが語末なので無声化して [t] になり、そして有+無なので з も無声化して [s] になります。

4) 常に硬子音/軟子音

ц ж шは常に硬子音、ч щは常に軟子音です。まぁぶっちゃけどうでもいいですね。普通に発音してたらそうなりますから。

5) 例外的な読み方

Revision #14
Created 16 April 2025 11:29:19 by K.H. (Admin)
Updated 8 May 2025 09:46:46 by K.H. (Admin)