2. be動詞・名詞の性・形容詞

教科書「ロシア語をはじめよう」とは順番がやや異なります。

複数形と所有代名詞は別のところに回しています。

Section1 be動詞を用いた簡単な文章

1. 平叙文

ロシア語を勉強する際には英語と対応させましょう。

ひとまず覚えておきたいのが、①ロシア語には冠詞がない ②ロシア語は(現在形の)be動詞が省略できる ③ロシア語は語順を気にしない の3つです。ほかは英語と同じです。

<例1>
英語:This is a house.
ロシア語:Это (×) (×) дом.

ね?英語をそのまま置き換えるだけでいいでしょ?

ちょうど英語のbe動詞には「である(イコールの意味)」と「~がいる/ある」の2つの意味があったように、ロシア語でも省略されたbe動詞が存在を示す働きをしてくれます。

<例2>
英語:This is here. (これはここにある)
ロシア語:Это (×) тут.

冠詞や現在形be動詞といった、「なくてもわかる」ものを切り捨てるのがロシア語です。
「ロシア語は不要なものを切り捨てる」という発想があると、今後もやりやすいかと思います。不定人称文とかもその考えですね。
(英語だって、he is を he's と短縮するでしょ? is なんてなくてもいいから、短縮してるんです。それといっしょ。
※過去形になるとhe wasの短縮形はない(wasに過去を示す働きがあるから短縮できない)ように、ロシア語もbe動詞の過去形などは書きます。)

※こういうbe動詞の平叙文では、述語の最後の単語のアクセント位置でイントネーションが下がりますが、あまり気にしなくても…。

2. 否定文

英語のnotに当たるнеをつけるだけです。

<例3>
英語:This is not a house.
ロシア語:Это (×) не (×) дом.

※неと次の単語は続けて発音されます。「エータ ニドーム」という感じです。だから実質「не」は「ニ」と発音される(ことが多い)わけですね。

3. 疑問文

ロシア語は語順を気にしないので、疑問文になったところでわざわざ語順を変える必要はありません。

語尾をクエスチョンマークにして、イントネーションを変えるだけです。

<例4>
Это дом ?

簡単ですね。答えるときには、yesに当たるдаと、noに当たるнетを使います(notがнеで、noがнетです。tの位置が逆なので注意)。
あとは英語と同じ感じでおk。

<例5>
英語:Yesthis is a house. / Nothis is not a house.
ロシア語:Да, это (×) (×) дом. / Нет, это (×) не (×) дом.

※疑問文のイントネーションは、聞きたい単語のアクセントがある位置を上げます。語末じゃないんで、そこは注意してください。

疑問詞(что, ктоなど)がついた疑問文も英語と同じようにすればOK。例:Who is this ? = Кто это ?
普通は疑問詞が文頭に来ますが、それ以外の語順はどうでもいいです。あと、疑問詞のとこだけイントネーションを上げて残りは下げます。
※教科書上では、Кто это が「誰?」で、 Кто онが「どんな人?」(職業などを聞く) という表現なので区別しておきましょう。

代表的な疑問詞:what→что、who→кто、where→где、when→когда́

Section2 正書法

正書法と聞くと身構えますが、日本語でいう仮名遣いです。
ほら、「地」は「ち」と読むけど、濁点がつくと「地面(じめん)」のように「じ」になります(×ぢ)よね。

それと同じように、ロシア語でも特定の条件の下で、文字が別の文字に置き換わってしまいます。

к , г , х,
ч, 
ш, щ, ж 
のあとには、ы, ю, я を書くことができず、その代わりにи, у, а を書く

というものです。

とりあえず、よくわからないままでいいので、なるべく早く覚えましょう。ы, ю, я の3つが、こないだ作った表(下に再掲)の「ペア」に置き換わります。
※ыとиのところは硬-軟の入れ替えが逆なので注意しましょう。
※о, е, ёあたりは正書法が発動しません。ペアがぐちゃぐちゃだから、と覚えておけばいいでしょう。

硬母音の字 〇 а(ア) × ы(ウィ)  〇 у(ウ) э(エ) о(オ)
軟母音の字 × я(ヤ) 〇 и(イ) × ю(ユ) е(イェ) /  ё’(ヨ)

ともあれ、「к , г , х,  ч,  ш, щ, ж 」の部分(正書法の発動条件)がなかなか覚えづらいものです。

ま、ここは古くからの覚え方どおり、「カチューシャ」で覚えましょう。
・カチューシャの「カ」:まず「к」があります。そしてその有声音の「г」、さらに、それらと口の形が同じ「х」の3つ。
・カチューシャの「チ」:「ч」ですね。※実は「ц 」も特殊な正書法が発動するっちゃ発動するのですが、基本的に気にしなくて大丈夫です(「цы」などという形も普通にあります)。
・カチューシャの「シャ」:まず「ш」と、形が似た「щ」。さらにшの有声音の「ж」で3つ。
合計7文字が正書法発動条件になります。

※正書法の覚え方は別にカチューシャじゃなくてもなんでもいいんですけど、к/г/х のグループとч/ш/щ/жのグループの2グループを混ぜないように覚えてください。あとで形容詞の話をするときなど、この2グループで場合分けが発生します。

Section3 名詞の性

1. 名詞の性の暗記(基本)

ロシア語には男性中性女性の3つの性があります。

しかしそんなに絶望するほどではありません。単語の語末を見れば、どの性の名詞なのかがだいたいわかります。
名詞の性は、語末の文字を基準にした分類に過ぎない」と認識することが大事です。

 

 

語末

男性 -子音
中性 -мя
女性

上の表をまずは頭に入れましょう。

先ほどの硬母音/軟母音の表に立ち返ると、おおむね以下の通りです。中性名詞は「-о, -е」と一見関係ない組み合わせですが、ちゃんとこの表のペアになってるわけですね。


【名詞の性】

ア段 イ段

ウ段

エ・オ段
女性名詞
(ьも)
男性名詞
(ь, 子音 も)
 (空きスロット)  中性名詞
(мяも)
硬母音の字 а(ア) ы(ウィ) у(ウ) э(エ) о(オ)
軟母音の字 я(ヤ) и(イ) ю(ユ) е(イェ) /  ё’(ヨ)

※空いているウ段(у, ю)は、格変化システムで上手に使用されます。

2. 名詞の性の暗記(発展)

① мяで終わる中性名詞

・мяで終わるものは、яで終わる点でつい女性名詞と勘違いしやすいので気を付けましょう。
・ただ、мяで終わる名詞は(全部でも)10個しかありません。しかもそのうちよく使うのは и́мя(名前), вре́мя(時間)の2つです。だからмяで終わる中性名詞の存在は最初は無視して大丈夫です
※軍歌を歌いたい人はその2つに加えて、знамя(旗)も頭に入れておきましょう。頻繁に出てきます。ソ連国歌(1977)でも「И Красному знамени славной Отчизны / Мы будем всегда беззаветно верны !」(そして、輝かしい祖国の赤に、 我々は今後も変わらず、献身的に忠誠を尽くすのだ!)とありますね。
※ロシア詩を読みたい人は、бремя(重荷)も覚えておくといいかもしれません。времяと韻を踏めるので、たまに見かけます。

② 現実的に性別がある名詞

「名詞の性は語尾による分類に過ぎない」と先ほど申し上げましたが、「父папа」や「おじдядя」など、明らかに現実世界で性別があるものは、現実世界の性別に合わせて運用されます。папаは女性名詞の語尾ですが、男性名詞扱いになるということですね。
例:「молодой папа」(若い父ちゃん)など、修飾する形容詞などに影響を与えます。
※格変化については「а」で終わる女性名詞と同じように変化しますので、基本的にあまり気にしなくても。

③ ьで終わる名詞

表を見ればわかる通り、「ь」で終わるものは男性と女性の両方の可能性があります。これは原則として、どちらの性なのか一つ一つ覚えなければいけません。しかしそもそも「ь」で終わる単語が少ない上に、半分くらいは見分ける法則があります。

規則1. 「~する人」(~er, ~ist)を表す「-тель」は男性名詞

例:писа́тель = писа́ть(=to write)+тель(=er) = writer は男性名詞

規則2. 名詞を作る「-ость」「-есть」は女性名詞

例:гла́сность = гла́сный(声に出す) + ость(こと) = グラスノスチ, 情報公開 は女性名詞
※「гость(客; 男性名詞)」(←гости́ницаホテル)など、そもそもостьが名詞語尾でないものは除きます。тельとかも同じね。

規則3. 「-чь」, 「-шь」, 「-щь」 ,「-жь」 は女性名詞

例:ночь(夜)、ложь(嘘)など。 この4組が覚えづらいなと思ったら、前ページの正書法の覚え方「カチューシャ」(к/г/х  ; ч/ш/щ/ж)を思い出しましょう。
…そうですね。カチューシャの「チューシャ」の部分(ч/ш/щ/ж)が、ちょうどぴったり当てはまります。

規則4.  実際の性別があるものはそれに従う

例:мать(母)など。

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以上でだいたい半分くらいは導けます。あとはフレーズを繰り返して覚えましょう。
例:Добрый день(こんにちは)って言うからдень(day)は男性だな… 
 「赤の広場」はКрасная прощадьだから広場は女性名詞だな…(発音注意:アクセントのない「ща」は「シ」くらいに発音される。「クラスナヤ・プローシチ」щが常に軟子音なので実質「щя」であり、アクセントのないяは「イ」だから。これは「ча」も一緒)


(追記)複数形になると…

複数形になると、名詞の性が消失します。つまり、複数形になると名詞の性別を気にする必要がなくなるということです。
それが何か?と思うかもしれませんが、とりあえず頭の隅っこに入れておくといいかもしれません。

Section4 形容詞

1. 形容詞の種類

ロシア語の形容詞は、辞書形がどのような語尾で終わっているかによって、3種類に分類されます。
※辞書形というのは、辞書に載っている形、つまり形容詞なら主格の男性形です。

種類 辞書形の語尾
硬変化(語尾非アクセント型)
※「硬変化Ⅰ」や「硬変化A」と言う人もいます。
-ый
例:но́вый(new)
硬変化(語尾アクセント型)
※「硬変化Ⅱ」や「硬変化B」と言う人もいます。
-о́й
例:большо́й(big)

軟変化

-ий
例:си́ний (blue)

・辞書形において、形容詞の最後の文字はすべて「й」で同じですね。
・「硬変化」タイプは、「ый」「ой」といった硬母音が語尾に来ているからそういう名前です。軟変化タイプは逆に「и」という軟母音が語尾に来ています。

硬母音の字 а(ア) ы(ウィ) у(ウ) э(エ) о(オ)
軟母音の字 я(ヤ) и(イ) ю(ユ) е(イェ) /  ё(ヨ)

・「語尾非アクセント型」「語尾アクセント型」というのはその名の通りです。辞書形が「-ый」で終わっているものは絶対に「-ый」にアクセントが来ることはなく、辞書形が「-ой」で終わっているものは絶対に「-ой」にアクセントが来ます。

2. 形容詞の形の変化

ロシア語の形容詞も基本的には英語と同じなのですが、被修飾語(形容詞が修飾する名詞)の性別によって語形が変わります


男性名詞を修飾する形
(=辞書形)

中性名詞を修飾する形 女性名詞を修飾する形
硬変化(非アク) -ый
例:но́вый стол (new desk)


-ое

例: но́вое окно (new window)
例:большо́е окно (big window) 

 

-ая
例: но́вая книга (new book)
例:больша́я книга (big book) 

硬変化(アク) -о́й
例:большо́й стол (big desk)  
軟変化 -ий
例: си́ний стол (blue desk) 
-ее
例: си́нее окно (blue window)
-яя
例:  си́няя книга (blue book)

…というのが教科書的な表記です。

ただうれしいことに、硬変化の語尾非アクセント型と語尾アクセント型は、主格の男性名詞形(つまり辞書形)以外、まったく同じ活用をします(語尾にアクセントが来るか来ないかの違いです)。

したがって実質的には以下のような表になります。

【形容詞変化】

男性名詞を修飾する形(=辞書形)
…イ段

中性名詞を修飾する形
…エ・オ段
女性名詞を修飾する形
…ア段
硬変化 -ый / -о́й

-ое

-ая 

軟変化 -ий
-ее
-яя

easyモードですね。硬母音ー軟母音の「ペア」になってるだけですから。

しかも、名詞の各性の語尾と、どこか同じ文字が使われていますね。


【名詞の性】

ア段 イ段

ウ段

エ・オ段
女性名詞
(ьも)
男性名詞
(ь, 子音 も)
 (空きスロット)  中性名詞
(мяも)
硬母音の字 а(ア) ы(ウィ) у(ウ) э(エ) о(オ)
軟母音の字 я(ヤ) и(イ) ю(ユ) е(イェ) /  ё’(ヨ)

「 но́вая книга 」などで分かる通り、韻を踏むように変化すると覚えておけば大丈夫でしょう。

追記:叙述用法について

形容詞には、述語の位置に置かれて主語とイコールになる(「The book is blue.」)使い方もあります(叙述用法)。
これもやっぱり同じで、イコールになる名詞の性に合わせます。「Книга синяя.」となるわけですね。

3. 形容詞の形の変化(発展)

形容詞を変化させる際に、注意しなければならないのが「正書法」です。

たとえば、хоро́ший(good)という形容詞を考えます。これは軟変化の形容詞です。この形容詞を用いてкнига (book)を修飾したい場合(「a good book」と言いたい場合)を考えます。

книгаは女性名詞なので、上の表に単純に従うと、形容詞の語尾をяяに変えて、「хоро́шяя книга」となります。
しかし、「шя」という並びは正書法的に許されていません(←カチューシャの後のы/я/юは禁止)。
したがってяをаに変えて、「хоро́шая книга」とならざるを得ません。
※こんな風に、単語の途中であっても絶対に発動される最強の規則が正書法です。カチューシャ様の前には逆らえないのですっ

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それがわかったところで一つ面倒な問題が生じます。

Q.1 「русский」(Russian)は硬変化でしょうか?軟変化でしょうか?

A.1 …イージーイージー、「-ий」で終わっているから軟変化に違いない、と思ってしまうのですが、じつは「硬変化+正書法」(つまり、もとは「русскый」で、「кы」の並びが許されないからやむを得ず「русский」になってしまったやつ)です。

さらに…

Q.2 「горя́чая вода」(hot water)の「горя́чая」は硬変化でしょうか?軟変化でしょうか?

A.2 さっきの表を見ると、「ая」は硬変化の女性形だから硬変化に違いない、と思ってしまうのですが、じつは「軟変化+正書法」(もとはгорячяяで、чяの並びが許されないからやむを得ずгорячаяになってしまったやつ)です。

…途端に、どいつが硬変化でどいつが軟変化なのかわけがわからなくなると思います。

しかし心配しなくても大丈夫です。またカチューシャ様が助けてくれます。
正書法発動条件の2グループ、カチューシャの「」=「к, г, х」、カチューシャの「ューシャ」=「ч, ш, щ, ж」の場合分けがここで役に立ちます。

辞書形が「-кий, -гий, -хий」で終わるものは必ず硬変化である。
辞書形が「-чий, -ший, -щий, -жий」で終わるものは必ず軟変化である。

これを参考にして、Q.1とQ.2を解いてみましょう。русскийはкийで終わっているので硬変化、горячаяはчийなので軟変化、とわかりますね。

※硬変化(アクセント型)は必ず語尾にアクセントがあるので判別できます。逆に硬変化(非アクセント型)と軟変化には語尾にアクセントがありません。

Section5 人称代名詞(主格)

いわゆる「I」「he」「we」など、主語の位置に来るときのロシア語の人称代名詞は以下の通りです。

【主格】 単数 複数
1人称 я(わたし) мы(わたしたち)
2人称 ты(きみ/おまえ) / вы(あなた) вы(おまえら/あなたたち)
3人称

он(男性名詞)

оно́(中性名詞)
она́(女性名詞)

они́(複数形)

例:Вы студент ? ー Да, я студент.
       (Are you a student ? Yes, I am a student.)
…выのあとのстудентが単数形なので、выは二人称単数なんだなぁとわかります。

※英語だって本来は二人称単数がありましたが、今では消失して単数も複数もyouになっています。

例:Где парк ? ー Он там.
       (Where is the park? -  It is there.)
…直前に出てきた男性名詞паркをонで受けていますね。


Section6 接続詞

<等位接続詞>

ここらへんは英語と同じように使える。и~и~で「~も~も」という意味になったりはするけど。