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1. まずはROMってろ

無線の免許試験には合格したものの、一向に免許証が届かない。それにいきなり初心者が交信というのはハードルが高い。

調べてみるとどうやら最初はBCLラジオ(短波ラジオ)から無線を始めるというのも一つ道筋のようである。最初は受信に徹して、電波を拾う練習をするということなのだ。なるほど、ネット社会のマナー「半年ROMる」に通じるものがある。

近頃のラジオはFMとAMしか聞けないものが多いが、少し前までは短波(Short Wave=SW)が受信できるBCLラジオというのも人気であったらしい。この短波はうまいこと電離層で跳ね返ってくれるため、遠くから電波が飛んでくる。いろんな国からの電波が入ってくるわけだ。ロマンがある。

これを聞いて早速わたしは秋葉原に出かけた。少し古い機械でも秋葉原にはあると信じたからだ。

ところが、富士無線、ロケット、ラジオデパート、山本無線、果てはビックカメラやヨドバシカメラにまで行ったが、どこを探してもまともなBCLラジオがない(あるにはあるのだが、受信波長が飛び飛び(スプレッド)の虫食い短波ラジオだったり、波長がきっちり3~30Mくらいまで抑えられていなかったりするおんぼろ品だったり)。

とにかく数も少なく、「ラジオ会館」やら「ラジオデパート」やら、ラジオと書いてあるくせにラジオが一つもないという絶望的な状況であった。

はぁ。

改めて秋葉原を見渡すと、いつの間にかメロブ2号館はOTAKU-SHOPなるものに変身していたり、ソシャゲの広告で街が埋め尽くされていたり、「Wow Dragonball!」と外国人観光客たちが嬌声を上げていたり、メイドさんが声を出さなくなっていたり(客引きのない秋葉原は時代錯誤社のない駒場のようなものだ)…。

わたしが秋葉原に来てからたった数年の間で、違和感を覚えるほど秋葉原は変わってしまったのだ。いわんや無線・ラジオをや。

思えばわたしはいつも何か一足(一時代)遅いのだ。数年前、秋葉原に同ソを買いに来ようとしたらもうすでに三月兎はなく、メロブではめったに同ソを見かけることはない(主に新作委託だから)。希望はあきばおー3号店の3階(あとAKIBA-HOBBY)だけだ(そういえばあきばおー3号店の2階にもBCLラジオがあったらしいが、もうなくなっていた)。

失意のうちに帰宅したわたしは、山本無線の店員に「うちでは広いバンド帯のは置いてないね、通販で買いな。TECSUNはソニーの部品使ってるから性能はいいよ。」と言われたことを思い出し、アマゾンを開くのであった。