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5.  注

[1] ロシアに対して親しみを感じるか、感じないかという調査では、実に95.3%が「親しみを感じない」と述べている(内閣府による令和5年9月世論調査)。
https://survey.gov-online.go.jp/r05/r05-gaiko/2.html#midashi6

[2] ロシアにおいて、この戦争を「祖国戦争」(оте́чественная война́ / otechestvennaja vojna)と呼ぶ。なお、独ソ戦は「大祖国戦争」と呼んでいる。

[3] キリル文字はローマ字の要領で読むと混乱が生じやすい。誤読を避けるため、本稿では各単語にアクセント(力点)を施すとともに、ラテンアルファベット転写も併記する。※転写後のjはヤ行である。

[4] 「Плеще́ев」は日本語では「プレシチェーエフ」と表記されることが多いが、現代ロシア語では「プリシーフ」という発音に近い。ラテン文字転写して「Pleshcheyev」となるから、「プレシチェーエフ」と読まれてしまっているのだろうが、現代ロシア語において「щ」は「シチ」ではなく「シ」に近い。なお、これは「ボルシチ(борщ)」や「フルシチョフ(Хрущёв)」においても当てはまる。それぞれ現代ロシア語では「ボールシ」「フルショーフ」が近い。

[5] 本稿とは直接関係しないため本文では言及を控えたが、ロシア詩の技法について少し触れる。

第一に、脚韻(行末の押韻)について。ロシア詩は原則4行で1セットだが、1行目&3行目、2行目&4行目のそれぞれで脚韻をそろえるものを「交差脚韻」とよぶ(本稿で扱った詩の大半がこれに該当する)。他にも、1行目&2行目、3行目&4行目で脚韻をそろえる「隣接脚韻」(本稿では『歌手に』が該当)などの脚韻形態がある。

第二に、近代ロシア詩は音節アクセント詩法に基づく。音節とアクセントの関係に応じて単語を配置しなければならないという縛りである。例えば「Умо́м — Росси́ю не поня́ть,」という一節なら、У / мо́м / Рос / си́ / ю / не / по / ня́ть という8音節にわけられる。各音節のアクセントの有無を確認すると、「У」にはなく、「мо́м」にはあり、「Рос」にはなく、「си́」にはあり、というように、「アクセント無し(弱)」と「アクセント有り(強)」が交互に現れる。このような形式を「弱強格」(ロシア語ではヤンブ/ ямб)という。他にも、「強→弱」が交互に現れる形式や、「弱→強→弱」が交互に現れる形式など、いくつかの種類がある。 

[6] ナロードニキ運動で掲げられた標語「ヴ・ナロード」はロシア語では「в народ」。ロシア語らしく読めば「ヴ・ナロート」である(単語末尾の有声音は無声化するため)。「в=in(~の中に)」という説明がされることがあるが、ここでは「to(~へ)」である。後ろの「народ」が前置格ではなく対格となっているためである。

[7] 『戦争と平和』などを著したレフ・トルストイ(Лев Толсто́й / Lev Tolstój)(1828~1910)とは別人である。

 <主な参考文献>
・木村彰一・北垣信行・池田健太郎(1966).『ロシアの文学 世界の文学史8』.明治書院.
・中村唯史・坂庭淳史・小椋彩(2022). 『世界の文学をひらく⑧ ロシア文学からの旅―交錯する人と言葉―』.ミネルヴァ書房.